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2009年10月13日 (火)

物流は営業を支援できる no.2

ロジスティクスコンサルタント(中小企業診断士)のあきです。

前回は、消費財を生産するメーカーを中心に、物流担当者が把握すべき機能別物流コストは多岐にわたること、ABC(活動基準原価計算)が物流分野に浸透しない理由などを述べた。今回は、ABCを浸透させるために留意するべき点と、物流が営業を支援できることを論じたい。

物流分野にABCが浸透しない理由として、生産分野では平準化できるが、物流分野では見込みで作業できないため平準化はできない点を挙げた。

はたしてそうだろうか。この点を論じるに当たっては、物流を広義で捉える必要がある。物流には、完成品として出来上がった製品を管理する狭義の物流と、原材料や部品、仕掛品、完成品を一気通貫で管理する広義の物流がある。市場の需要速度に対応するために先行して見込生産し適正な在庫を保有する場合は、入庫処理や補充,保管など荷役作業を平準化していることになる。なぜなら、需要予測に基づき先行生産をしなければ、入庫や補充,保管など荷役作業量は変動の激しいものとなるためである。また、ボール詰めや小袋梱包などの流通加工も、出荷作業に先行して行うことができる。従って、ピッキング作業や出荷検品は受注が無いのに先行はできないが、その他ほとんどの作業は平準化していると言える。

そもそも、ABCは作業の標準化を行った後に、アクティビティー(要素作業単位)で費用や工数(時間値)を測るものである。標準値を把握することで作業量に合わせた人員配置を行い、無駄な費用や人員を排除する。これこそが、LSPによる作業の平準化である。

次に、 物流分野にABCが浸透しない理由として、生産分野では自社で生産ロットを決定できるが、物流分野では出荷作業において自社で原単位である行当たり作業量が異なる点を挙げた。

しかし、何がしかの基準が無ければ費用や工数が多くかかり過ぎなのか、安くできたのかが分からないし、判断できない。事実、予実管理も予め見積もった予算があるから出来るのである。PDCを回すには作業を数値化しビジビリティーする必要がある。また、配置した人員のコストを総額で捉えることと作業単位で細分化して捉えることは、人間で言うところの左右両方の肺と同じ関係であり、片肺飛行では不都合である。経営管理は、組織や業務の細分化なしには語れない。

以前、ある大手ベンダーの物流業務改善で、物流センターに伺った事がある。年間のセンター通過金額が100億円であったが、入庫処理が煩雑であった。具体的には、複数の商品群においてサプライヤーから毎日10ケース単位で入荷が発生していた。仕入側で発注ロットをパレタイズ単位に替えるだけで入庫作業は楽になるし、売れ筋商品の仕入れ量を3日分まとめて仕入れることによる月末締めの買掛金残高に、つまりキャシュフローに影響はない。

そうしてみると、出荷作業の原単位である行当たり作業量が、受注の都度異なることを以って、物流分野にABCが浸透しない理由とするのは的を得ていないと言える。

ところで、物流とは当該事業を完結させるための最後の砦でり、顧客に対するサービスである。従って、物流を担う者はマーケットイン志向でなければならない。顧客により高い価値を提供することが求められるが、価値とは機能とコストの相関で決定される。

顧客が享受する価値を高めるためには、①機能をそのままにしてコストを下げるか、②コストをそのままにして機能を高めるか、③機能を下げつつもコストをそれ以上に下げるか、④コストを上げつつも機能をそれ以上に高めるかしかない。そしてそれは顧客に選択権があり、企業側は顧客に対して選択肢を提供することが許される。

その意味で、物流分野を担う者は、どのような取引条件であればどんな効果があるのかを明確にすべきである。その範囲や費用を数値化し、自社内で提案する。と共に、エンドユーザー近くに位置し情報を真っ先に手に入れることが可能な、物流分野を担う者が中心になり、自社の各部門間で物流業務上の問題点や高コスト要因を共有し、営業部門と協働しながら社内外に改善策を提案するべきである。そのために、物流マンはABC(活動基準原価計算)を活用するべきだし、それによって得たコスト情報をコミニケーション力を高めることで情報発信していく必要がある。

もう少しまとめて納品できないかというのも、提案の一つだろう。会計学から見ると割戻は、一定数量以上を購買することで仕入高をマイナスし、顧客の収益を高める。同様に、ロットをまとめて納品することで、削減できた物流コストを自社と顧客でゲインシェアしてもいいだろう。また、仕入割引は早く支払いを済ますことで顧客の収益を高めることを表す勘定科目だが、物流分野に置き換えると、顧客が早期発注により作業の平準化が可能となることで、削減できた物流コストを自社と顧客でゲインシェアすることになる。

顧客の収益に貢献可能な物流が、延いては自社の売上げや利益を高めることになる。なぜなら、顧客への貢献無くして自社の発展はないからである。折しも環境問題が指摘される中、多くのCO2を排出する物流分野は、社会的役割を果たす機会である。顧客との協働でCO2排出量削減に取組んでみてはどうだろう。これらの取組みも、顧客や社会に対する重要な貢献である。

経営とは、企業価値を高める活動である。物流は狭義と広義があることは先に述べたが、価値向上のためには活動の範囲が広いほうが良いから、広義の物流,即ちロジステイクスの視点で物流を捉えよう。その中に潜むムダを無くし、手に入れた情報を基に社内外に提案を試みよう。企業価値づくりは人づくり、意識改革により物流は営業を支援できる。

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